気まぐれダイアリー

「ゆっくり弾く」練習の大切さ

レッスンの中で、ほぼ確実に一度は皆さんにお願いすること…
それは「片手ずつ聞かせてください」と「少しゆっくり弾いてください」ということ。

特に最近「少しゆっくり弾いてみて」とお願いすることが
多いような気がします。
それだけ、教室に長年通って来て下さっている皆さんが上達され
短期間で速度を上げて弾けるようになったということなので
喜ぶべきことではあるのですが…
う~~ん、やはり素直に喜べません

なぜかというと、テンポを上げて弾く前の大切なステップを
しっかりクリアする前に、速く弾くことに慣れてしまう危険があるからです。

譜読みが終わって、指が音を覚えてくると
まずは、なるべくCDで聞くような
仕上がりのイメージに近いテンポで弾きたくなって
つっかえつっかえでも、弾けるところは速く弾いてしまうのだと思うのですが
譜読みが終わった次のステップは
「速く弾けるようにする」ではなく
「楽譜に書かれている指示を表現しながら弾けるようにする」です!
(もちろんテンポ以外の表記のことです)
そして、テンポを上げるのは最後のステップ。

でも、皆さんの気持ちもよくわかるんです!
ある程度のスピードで指を動かしていると
「弾いている」という達成感があり、嬉しいし楽しいし気持ちがいいです

もちろん、まだ表現がきっちり出来ていない段階でも…
たとえ指が動かず、ぐちゃぐちゃに崩れてしまっても…
速いテンポで勢いよく弾いてみる練習も”時には”必要です。
でも、”いつも”はNGです!

速弾きすることに慣れてしまうと、
逆に「ゆっくり弾く」ことが出来なくなってしまうこともあり
間違った音や変な癖が直せない、
譜面に書かれている細やかな指示を表現する余裕がもてない…など
『百害あって一利なし』と言っても過言ではありません!

・・・と、ここまで自信をもってハッキリ言えるのは
先日、カナダ人ピアニスト、アンジェラ・ヒューイット(Angela Hewitt)の
"The importance of slow practice" という動画を見つけたからなのですが~。
「うん、そうだ、そうだ、その通り!」と強い味方を得た気分になりました

彼女の言っていることをざっくり訳すとこんな感じになります。

『ゆっくり練習することを好きな人なんていないですよね。
若い人達は忍耐力が続かず、やりたがらないけれど
年齢を重ねるにつれ、それがどれだけ効果的なことがわかるんです。
ゆっくりしたテンポで弾けなければ
速いテンポでしっかり安定感を保って弾けるわけがないですよね。

そして、ゆっくり弾く時も、速く弾く時も
音楽的なことは同じようにきちんと表現されていなければなりません。
それは、たとえばフレーズや
アーティキュレーション(アクセントやスタッカートなどのニュアンスの事)
強弱など、すべてを意味します。

逆に、とてもゆっくりな曲を速く弾くというのもいい練習になります。
特に、暗譜をしようと思っている時には役に立ちます。
それに、たとえば5~6分かかる曲を少し速くひけば
それだけ回数を多く弾くことができますよね(笑)
脳にとっても、とても良いトレーニングになるわ。』


私が言っても、さほど説得力ありませんが
国際的ピアニストが語ると、やはりグッと内容が濃く聞こえます!

どんなにスラスラ弾けるようになっても、
たまにはゆっくりしたテンポで、しっかり楽譜を見て
よ~~く音に耳を傾けながら練習してみてください。

■アンジェラ・ヒューイット:ゆっくり練習することの大切さ



余談ですが~、アンジェラ・ヒューイットと私は同門下生なのです。
10年以上違うので、残念ながら実際に会ったことはありませんが
先生(フランス人ピアノストJean-Paul Sevilla)はよく
「アンジェラがこの曲を弾いた時は、3日で完璧に弾きこなしたものだ~」
などと、私達凡人生徒に一番弟子の自慢話をしていたものです。

アンジェラ・ヒューイットは、トロント国際バッハコンクールで優勝したことで
国際的に活躍するピアニストへと躍進しました。
彼女の弾くバッハは私も大好きです。 是非聞いてみて下さい♪

■J.S.Bach W.ケンプ編曲/ シシリアーノ(Siciliano)
■J.S.Bach/ 半音階的幻想曲&フーガ


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