気まぐれダイアリー

「選曲で冒険」のススメ

秋のコンサートが終わったと思ったら
あっという間に、今年も残すところ
2週間を切ってしまいました。

毎回、コンサートが終わるとすぐに
次回のコンサートでは何を弾こうか…という相談が寄せられるので
皆さんの今までの演奏を思い浮かべながら
楽譜を見たり、YouTubeを見たり、CDを聴いたり、自分で弾いてみたり…と
もしかするとご本人以上に悩んだり、迷ったりしながら選曲に時間をかけます。

…と言っても、これは決して文句ではなく
「〇〇さんがこれを弾いたら、どんな感じになるだろう?」と想像しながら
あれこれ曲を考えるのは結構楽しいものです
ただし、私のひとことで決まってしまう可能性が高いので責任は重大です!

数か月かけて練習していく曲なので、やはりご本人が
「この曲だったら、少し苦労してもしっかり練習して弾けるようになりたい!」と
思える選曲がベストです。

正直なところ、私も人間なので
好きな曲と嫌いな曲があります。
そして、レッスンしやすい曲としにくい曲もあります。
当然ながら、自分のあまり好きでない曲やレッスンしにくい曲は
あえて候補には挙げないです

でも、もちろんそういった曲でも
生徒さんの方から弾きたいという申し出があれば
よほどレベル的に無理でない限りは
自分が気が進まないからといって
「ダメです!」と言うことはないのでご心配なく

いずれにしても、教える側の好みや得手不得手は
生徒さんの選曲に少なからず影響を及ぼすものだと思います。

今振り返ると、私自身も先生によってだいぶ偏った選曲をしてきました。

フランス人の先生は、私がベートーヴェンのソナタ21番「ワルトシュタイン」を
習いたいとお願いしたら、ものすごく嫌な顔をして「NO!」と即座に拒否しました。
「NO!」と言われることを予想していなかったので、呆気にとられ
その時は理由を聞かずにあきらめましたが
後で、他の門下生から「彼は、学生時代にコンクールでワルトシュタインを弾いて
大失敗をした苦い経験があるんだ。それ以来、ワルトシュタインは絶対に弾かない。
その時の記憶がよみがえるから、きっとレッスンもしたくないんだよ。」という話を聞きました。

まぁ、その気持ちもわかりますが…そんな理由で
私は「ワルトシュタイン」のレッスンを受けられずに今まで来てしまった

その代り、先生のおかげで日本ではほとんど弾かれることのない
フランス人作曲家アルベール・ルーセルの作品や
フォーレ、ラヴェル、ドビュッシーなどはよく教えていただきました。

そして、ハンガリー人の先生には、主にバルトークとリストを教わりました。

学生の身分だと、自分の好きな曲を弾くということはほとんどなく
たいてい課題を与えられてしまうので、自分の好みと合わない曲もあり
最初は”弾かねばならない”という義務感で練習するのですが
だんだん体にしみ込んできて、好きになってくるので不思議です。

逆に、自分の方から「是非これが弾きたい!」とお願いしてレッスンしてもらった曲は
結局 思っていたほど上手に弾けずに
最後のほうはあまり楽しく練習できなかったという記憶も少なくありません。

曲との相性は、やはり実際に弾いてみないとわからないものです!

もちろん、専門で勉強するピアノと趣味で弾くピアノは違いますが
たまに自分がふだん選ばないタイプの曲を試してみると
意外に感性が合って上手に仕上がり、自分でも驚いたりすることがあります。

来年は、一曲ぐらいそのような冒険の選曲をしてみると
レパートリーの幅が広がるいいきっかけになるかもしれません

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